「年越しまであと…5分!」
「間に合ったわね。…はい、どうぞ?」
「「「いただきます!」」」

 白い湯気がたつ(つゆ)、蕎麦を掬い啜る。

「熱っ!」
「そりゃそうでしょう?大丈夫、火傷してない?」
「う、うん、多分。ふ〜ふ〜…でも、うまぁ。」

 真昼も一星も幸せそうな顔をする。

「夜空ちゃんって料理上手いな…!真昼もか?」
「どうだろう…お姉ちゃん程じゃないけど、好きではあるよ。」
「私は両親が仕事でいないことが多かったから、幼い頃からやっていたわ。だからか、得意よ。」
 
 ズルズルと音を立てて食べ進める。

 一星は客というより家族の一員みたいだ。

 それくらい馴染んでる。

「私、もうお腹いっぱい…先にお風呂入ってくるわ。」
「私も一緒に入る!いい?」
「仕方ないわね…今日だけよ?」
「はーい!」

 夜空の「今日だけ」はいつまで続くのだろうか。

 新年明けても日常はそう変わらないようだ。