大掃除が終わって私は自室に戻った。
薄着で居すぎた、体を冷やしてしまった。
「ふ〜…クローゼットでも整理しようかしら。」
朝日と出会ってから始めたことが多い。
伴って物も服も増えた。
着たこと無かったストリート系の服も、食事管理のために買った料理本も、アイツといたら手元には無いものだ。
クローゼットの奥をゴソゴソしていると、見覚えのあるカバンを見つけた。
「これは…こんなところになったのね…私の相棒。」
私と言えば弓道とフルート、だと思っている。
どちらも幼い頃からやっている。
『私フルート好きよ!』
『私もお姉ちゃんのフルート好き!』
父がフルート奏者だったのだ。
だから私も半ば強制的にやっていた。
結果的に私もフルートが好きになった。
でも、それがいけなかった。
『違う!そこはもっと繊細に吹け!好きなのに分からないのか!?』
『ごめんなさい…!ごめんなさい!』
好きだから得意、わけじゃない。
もちろん好きで得意なものある、私なら弓道だ。
何度も練習して、殴られても蹴られても頑張って…
コンクールで盾を持ち帰るために…
いつしか「父」のためにフルートを吹いていた。