近くのベンチに座った。

「はい、これ飲んで?」
「カフェオレ…いや、水くれ。」

 買ってきたのは温かいカフェオレとキンキンの水。

「なんで?カフェオレ好きでしょ?この水は目を冷やす用よ?」
「いいから…」

 確かにカフェオレは好きだ。

 特に甘いヤツは。

 でも、今日は飲みたくない。

「なんでなのよ…もう。」

 そんなの理由は1つしかない。

 頬に触れそのまま近くに寄せる。

 軽く音を立て口付ける。

「拗ねんなって。カフェオレ飲んだら、しばらくキスできねぇだろ?後で美味しくいただくわ。」
「あっ…///もう!そうゆうとこよ///!ズルい…///」
「まぁ、鈍感お嬢様の彼氏やってるんで。」

 珍しく頬を赤くしている。
 
 そう見惚れていると、小さく口が動いた。

「大好き…///」

 確かに聞こえた。

 ざわめく人集りの中、ポツっとひとつ雪が降る。

「聞こえない。もう1回言って?」
「…///!な、何も言ってないわ…///!何も…///」

 まぁ、俺の耳にはバッチリ聞こえているので、逃がしはしないけどな。

 夜空が素直に言葉にするなんてそうそう無いのだ。

「じゃあなんでそんなにムキになってるんだ?」
「そ、それは…///」
「もっかい言えって…」

 先程は比べものにならないほど赤くなる。

「す…す…好き…///」

 俺的には大満足だ。

「俺も、大好きだ。」
「っ///も、もう帰るわよ…///!」

 指と指を絡める。

 少しだけ、体重をかけられる。

 甘えてる証拠だ。

 今日はカフェオレなんかよりも、ずっと甘い日だった。