「あら、朝日早いのね。ビックリ。」
「まぁな。夜空は?」
「決まったわ、ちょっと待ってて?」
「おう。」
あちらもササッと会計を済ませたようだ。
「ありがとう、待たせてしまったわね。」
「気にすんな、待ってる間も楽しかったし。」
商品を見て考える度に表情が変わる夜空が、外野からするととても楽しかった。
プレゼントだが、もうあげてしまおうか。
「これ、さっき買ったやつ。プレゼントだ。」
「えっ…!っふふ。同じこと考えてるのね。はい、私からもどうぞ?」
何となく、わかっていた気がしていたが、まぁいい。
箱を開けてみると、香水が入っていた。
夜空の手の中には三日月のワンポイントが着いた青いリボンの髪飾りとそれに合わせた月のイヤリングがある。
「これ…!」
「この前捨てられちまっただろ?もうあれも古かったし、ちょっといいやつ。どう?」
「嬉しい…どうしても、あれが忘れられなくて、新しいのに手を出せなかったの。でも…もう大丈夫ね。」
手早く付けてみせる。
黒い綺麗な長髪に青いリボンと三日月がよく映える。
「似合うかしら?」
「あぁ、思った以上だ。」
「ふふ…!」
嬉しいそうで何より。
それにしても、この香水特に覚えがない。
「これは?」
「お義父さんが朝日は香水か好きだって聞いて。好みの香りじゃなかったかしら?」
確かに香水が好きで集めていた時期もあったが、最近はブームから離れていた。
少しだけ左手首にふりかけてみる。
ふわっと香ったのは、少し甘いがさっぱりした香り。
好きな香りだった。
「いや。好きだな、この匂い。ありがとう、夜空。気に入った。」
「良かったわ…!」
今日は元から香水をつけてない。
お手洗いついでにつけようか。