俺は、ジャケットを脱ぎ捨てると、夜空の後を追って、飛んだ。そういえば、ここは過去に戻る現象が始まる前に俺らが死んだ場所だ。
そんなこと考えてる暇ではない。飛び込んだ先に夜空はいた。
「夜空、しっかりしろ!」
元々冷えていた体に、追い打ちをかける海水。冬が近いだけあって冷たい。力いっぱいに岸へと動く。少しばかり波が後押しする。
遠くで3人が逃げる姿が見えるが、今はどうでもいい。明日香はスマホ片手に話している、電話か。
「夜空…分かるか?俺だ、朝日だ。」
「あ…さひ…」
五分くらいか、やっと岸についた。
縛られた手足を解く。跡になるほどキツく縛られていた。
「明日香さん、ジャケットくれ。」
「あす…か…も…」
「夜空…大丈夫だよ、救急車呼んだから。もう少しだよ。」
前も言ったが夜空は体が弱い。特に体が冷えると、危ない。濡れた髪を体から避け、風の当たらない所へ移動した。
「私あっちで待ってるね。」
「ありがとう。」