あれは中3の総合体育大会県大会の時。私は弓道部部長で、個人団体と出場していた。団体は4位で敗退、個人は優勝した。
『流石お姉ちゃん、おめでとう!次は全国大会だね!』
『うん、ありがとう。頑張るわ。』
『夜空…その……優勝、おめでとう。』
『朝日…!ありがとう。』
その時に朝日がくれたのが、あの青いリボンの髪飾りだった。
『それで…その……やる///』
『ん?何?』
『ショボいけどよ、プレゼント///』
『髪飾り?可愛い!ありがとう、朝日。大事にするわ。』
『おぅよ…///』
思春期真っ只中だったからか、少しはずかしそうだった。中三で最後の大きな大会で、全国大会は朝日の誕生日と同じ日だった。結果は結果は優勝、でも裏切りを受けて酷く傷ついた記憶があった。
それでもそのリボンは、私の心の支えだった。すごく気に入って、おしゃれする時のお供になっていた。旅行にも、ちょっとした買い物にも、明日香と出かける時だって付けた。
高校に入ると毎日つけて行った。私の宝物で、お守りなのだ。あれがあったから、頑張れたことだって少なくない。
それなのに…
「ごめ、さい…」
「「「…?」」」
「ごめんなさい…朝日…!私が…不甲斐ないせいで…」
負が私を覆った。寒い、辛い、苦しい、痛い、怖い、悲しい…
「そんなにあれが好きなら、逝かせてあげる!」
抵抗できない私は手すりへと上げられた。マズい…私…本当に…
必死にバタバタともがいた。
「いや…!やめて…!」
朝日の笑顔、真昼の声、夕日お兄さんの優しさが浮かぶ。
「夜空!」
「朝日くん…!」
「ヤバっ!」
「朝」
「日」って言えなかった。力が抜けた隙に、落とされたから…
「どけ!」
上から、朝日の姿が最後、体が冷えた。