肌寒い、カーディガンもジャケットも取られてしまった。もし、この人たちに背を押されて仕舞えば、私は海へ真っ逆さまだ。たとえ水の中だとしても、私じゃ無理だ。耐えられない。だいぶ、体力も削られてる。
(助けて…)
「朝日くん来る前に落とさなきゃ。」
「でもうち、痛めつけ足りないよ。」
「それはそう、罰が足んないよね!」
口はガムテープで、手足も縛られて身動きが取れない。
「おら!アハハ!」
「ん"っ!う"ぐっ…!」
「キャハハ!」
「もっとやれ〜!美優〜!」
上手く息ができない。起き上がる気でさえ、なくなってきた。私は死ぬの…?まだ、彼に何も言ってないのに…
「この髪飾りかわいい!あんたには似合わないわよ。」
「…っ!ん〜!んん〜!」
「何々、わかんないってば!」
「ん"っ!ゲホッ…」
無理やりガムテープを剥がされる。
「返、して…返して…お願いよ。」
「これ?何だよ。」
「大切な、ものなのよ…お願い…!」
「どうする、美優?」
髪飾りが美優の手の中に。
「いらないでしょ?こんな安っぽいリボン。」
「やめて!」
そして、海へと放たれた。
「あぁ、」
「あんたも後で、送ってあげるから、」
あれは…本当に大切なものだったのに…3人の話など聞かない。一昔前を思い出していた。