また一からやり直し。明日香の告白を断り、夜空が生徒会に当選すれば「俺にいつでも相談しろよ」と前向きな言葉をかける。
 彼女は安心した顔を見せた。今度こそいつも通りだ。
 心のどこか安心している自分がいた。油断していた。

 ある日、下校中だった。

「デュフフ、今日も夜空たん可愛いね、ヒヒ…!そろそろ、僕ちんのプリンセスに、さ。デュフフ…!」
「っ…!何度言ったらいいの…!やめて!気持ち悪いわ…!」
「な、で…何でだよぅ!こんなに、こんなに夜空たんを愛しているのにぃ!僕ちんのこと、嫌いな夜空たんなら!」

 たまたま俺は通りかかったのだ。

「きゃぁぁぁぁ!」

 悲鳴に気付き反射的に2人を見た。フルーツナイフのようなものが夜空の胸を突いた瞬間を。そのまま彼女は力なく倒れた。胸にナイフは刺さったまま、床に血がひろがる。
 一瞬怖気づいたが、すぐさまストーカーをぶっ飛ばし夜空にかけよった。

「夜空!しっかりしろ!夜空!」

 返事はない、目を覚ましてもくれなかった。手は、少し冷たかった。

 気づけばまだあの朝だ、記憶があるのが一番こたえた。思い出そうとすると、うっ、と吐き気がする。

『まただよ、また。上手くやって言っただろう?ほら、もう一回。』

 そして頭の中のこいつがまぁウザい。でも、誰かに似てる気がしてならない。