「どんな理由があっても!どんな経緯があっても!夜空は朝日を思ってた…!夜空は体がそこまで強くないから、私たちがバスケしてても、一回も『やめて』『一緒に何かしよう』なんて言わなかったでしょう…?静かにこっちを見て、笑ってた…」

 会ってすぐの頃は本当に体が弱くて、季節の変わり目で風邪は引くし、登下校は毎回送り迎えで体育もハードなやつはいつも見学だった。ある程度体調が安定し出したのは高校生になるぐらいのころだった。
 知ってるようで、知らない黒い彼岸花。

「……朝日のエゴを突き通す為だか何だかは、僕は知らない……でも、朝日は…お前に向いている信頼や視線を無視し続けて、その終いにはっ……夜空を…」
「それ…は……っ………その…」
「お前も…、夜空も……、自分の心を押し込めのは、もう……やめてくれ…」
「兄貴………真昼……」
「お姉ちゃんはっ!……朝日が思っているよりも、……ずっとずっと……朝日のことを、心から好きでいたんだよ……部屋来たと思ったら、いつもあんたの話しかしないんだから………」
 いつもとは真反対とも言える消えそうな声で言うと、下を向いたままピクリともしなくなってしまった。そうして、暫くして、「ごめん。」と一言言って前を向いた……
 俺をじっと見て……

「葬式終わりに済まなかったね……それに、つい感情的になってしまったね。」
「追い詰める様なことも言ったわ…本当にごめん……」
「別に………俺が……悪いから…」
「っ……まぁ、否定はしないこともないよ。でも……お前まで死んでは夜空も救われない。分かったね?」

 兄貴はそれだけ残して、立ち去っていった。

「……さっ、お風呂入ろうっと!朝日も一緒に入る?」
「入るか……馬鹿…………」