葬式の後、家に帰ってから二人に呼び止められ、夜空の事で話がある、と言われた。

「葬儀の後すぐなのにごめんね。どうしてもお前に聞きたい事があったんだ。」
「…うん…回りくどく言ってもめんどくさいし、単刀直入に言うね。」

 一拍おいた。

「お姉ちゃんに何したか、分かってんの?」
「…………えっ…?」

 そのままの意味だよ、と二人は俺に鋭い眼差しを向けた。いつも優しい兄貴でも五月蝿いくらい明るい真昼でも、違う。夜空を失ったのは、お前のせいと言わんばかりの、視線…

「言い方を変えようか。お前は夜空の事が好きだったのだろう?何故、他の子と付き合っているふりをしたんだ?」
「えっ………何で兄貴が知って……」
「質問に答えて、なんで、お姉ちゃんを騙して、あんな事をしたの?」
「それ……は…」
 いくつもの小さな棘が心に刺されているような痛み。

 だって、それは…夜空の…ため…夜空を守る為に、夜空に、俺なんかに縛られて生きて欲しくなくて……自由になって欲しくて……
 ダメなんだよな…どんなに言い訳しても……もう…………
 夜空は……いない……