夕食はバイキングだ。

 再び部屋着に着替えて食事処に向かう。
 
 バイキングの中には彼女の好きなうどんやたこ焼きもあった。

「朝日は何か好きなのあったかしら?」
「いや…あ、」

 俺の好きなものは、皆あまり知らない。

 まあ、「意外」と言われるのが嫌で、言ってないのだ。

 「うまそ…」

 一つはフレンチトースト。

 これよりも好きなものがもう一つ。

「この酢豚…マジ美味そう…!」
「朝日…ほんとに目がないのね。」

 そう、酢豚だ。

 なんだか知らないが、好きだった。

 甘酸っぱく癖になるあのタレに絡みついた豚肉が最高なのだ。

「今度作ってあげるわ。」
「今度…おぅよ。」

 ぱくっと一口、うんやっぱり美味い。

 スイーツもバイキング形式で夜空は大好物の和菓子にメロメロだった。

「餡蜜おいしぃ…」
「よかったな。」
「えぇ!」

 俺は美味しそうに食ってる彼女が好きだ。

 いつもより良く表情が出るから。

 ほんとに可愛いのだ。

「はぁ…」
「どうした?」
「スイーツって美味しいけれど、私太ったのよ。」

 ダイエットしなくちゃ、と言っていた。

 俺はそうは思わなかった。

 というか、むしろもっと食べてもらっていい。

 一昔前、彼女は摂食障害だった。

 そのため今も、骨ばっているところがあるくらい痩せている。

 太った、というのはあくまで前の体重よりも増えたということ。

「これ以上痩せられても困る。」
「だって、お腹がポヨって。」
「してないから!つか、少しくらいポヨってるくらいが俺は好きだけど///!」
「っ〜///!」

 分かったから、と照れながら大福を1口食べた。

 バイキングを楽しんで、部屋に戻ったのは八時半だった。