「いいわよ!」

 中から合図が聞こえる。

 そろそろと足を一歩踏み出すと、濁り湯の中に夜空はいた。

 変にドキドキしている。

 手早く洗い済ませると湯船に浸かる。

 それも遠くの方に。

「なんでそんなに遠いのよ。」
「だ、だって…///いくら濁ってても、み、見えそうだし…///」

 逸していた目を彼女に戻すと、すぐ近くにいた。

「うわぁ///!近ぇな///!おい///…」
「こうでもしないと、近くに来ないでしょう?」

 肌と肌が触れて、生々しく赤くなる頬と肩。

 恥ずかしくてたまらないのに、目が離せない。

「ん?」
「っ///!なんでもねぇよ///」
「何も言ってないわ。もう///」

 恥ずかしいじゃない、と呟いてそっぽ向いた。

 俺の中で何かがカチッと入った。

「つかさ、そんなに照れてるけど、見えてんの?」
「み、見えてない、けど…」
「じゃあ、見れる距離まで近づかなくちゃ。」

 俺は伸ばした足の上に夜空を乗せた。

 目線が合う。

 支えるために腰を掴んでみる。

「ほっそ…///」
「…っ///!」

 恥ずかしそうにしていた夜空だが、しだいに慣れてきたか。

 俺の胸に手を置いて、身を寄せた。

(柔らか…!)

 女子の体って案外柔らかい。

 簡単に折れてしまいそうなほどに細いし、思っていた以上に軽い。

 想像以上に理性が削られる…

「ふふっ…なんだか、思っている以上に恥ずかしくないわ。」
「そうかよ。」

 夜空は見た目の割に、というか誰よりも肝が座っている。

 だからか、自然と俺も恥ずかしさはなかった。

「のぼせてねぇ?」
「そろそろ。」
「上がるか。」

 あ、一言言ってないことがあった…

「今晩、楽しみにしといて?」
「……っ/////!!!」

 急にのぼせたかと思うほど顔を赤くした。

 ほんと、夕食の時間が惜しい。