まあ、遅いと彼女に怒られ、機嫌取りに和菓子を買って帰ったのはあの日から二日後のことだった。

 冬休みも終わりかけ。

 そういえば両親が来たのはこの頃だったな、と時の早さを感じた。

 そして後期も後半に差し掛かった…

 周りは皆、追い込み期間に入る。

 明日香も元部活メンバーも血眼になって勉強していた。

 私立組も邪魔しないようにと、ひっそり過ごしている。

 年明け前の賑やかさは遥か遠くへ。

 朝から放課後までピリピリとした緊張感が走っている。

 それは俺らの家にまで届いた。

「なぁ、夜空、」
「何?」

 心做しか、言い方が冷たい気がする。

「私、急いでるの。早くして。」
「あ、あぁ。」

 冷たい波が押し寄せてくる。

 要件だけ簡潔に話すと、あぁそう、とだけ言ってせかせかとレッスンに向かった。

 浮足がってるのも、寂しくなったのも俺だけだった。

 3月の半ば、最後のデートの約束をしたのだ。

 どうしようもない消失感に包まれた。

 2月も折り返し、彼女といられるのも一ヶ月を切った。

 夕方になって夜空が帰ってきた。

「遅かったな。」
「寄り道してきたのよ。…部屋に来てほしいの。」
「ん?」

 不機嫌はどうした。

 それに夜空の部屋なんて、珍しい。

 双子は今でも同じ部屋だ。

 夜空自身一人でいるのが苦手だから。

 だから俺が二人の部屋に入ることは殆ど無い。