学校からの帰り道、あの公園に通りかかった。
 この前まで、ここにくるときは幸せでたまらなかったのに。
 今は、袋に穴が開いてしまって空気が抜けていくような、そんな脱力感がある。

「こういうときは無色だな」

 そこに捨ててあったラムネ瓶にピントを合わせる。
 ガラスが反射する夜空が良い具合に不安を煽る。いい感じだ。

 カメラをしまい、公園を立ち去ろうとしたとき、懐かしい声が聞こえた。

「七海くん!」

 岩城の肌が、透けてない。
 というか、カメラなしに見える。

「ひさし、ぶり」

 彼女は肩で息をしながら、優しく微笑んだ。