今日は学校に行くのはやめた。
 代わりに、北高へ行くことにした。

 七海くんが苦しそうにしていたら、すぐに助けに出られるように、少しでも側にいたい。

 どうやら、七海くんの席は教室のど真ん中らしい。
 内職するにはバレそうだし、先生に当てられやすいし、という地味にハズレの席だ。
 でも、前後左右、そして斜めの全方位に人がいるから、孤立するようなことはない。

 まぁ、どんな席でも優しい七海くんなら大丈夫だろう。


 そう安心しきっていたわたしの心は、七海くんが当てられた瞬間、一瞬にして凍りついた。
 七海くんはちゃんと正解を述べた。
 なのに、クラスメートの視線が冷ややかだ。
 わたしに向けられたわけじゃないのに、鋭い視線が突き刺さる。
 七海くんも視線の矢に射られて、体を小さくして座り込んだ。

 ──何、これ。
 いじめられてるの? 七海くんが?
 
 色が消えるって、これが原因?
 あぁ、だめだ。
 これだけじゃ、何も分からない。
 七海くんを苦しみから救えない。

 矢が刺さったままの胸がチクチクと痛んで、その傷はなかなか癒えてくれなかった。