「一度見ただけで、余の筆跡にかなり近くなっている。詩のような文言も素晴らしい」
「もったいないお言葉でございます」
私は跪いたまま、頭を垂れた。
そりゃあそうよ。書に必要なのは、まず文字を真似して書く能力。あとは気持ちを言葉に表す感覚だ。
私は幼い頃から手習いの練習だけじゃなく、できるだけ多くの文字を目に入れるようにしていた。
書物はまだ発明されて間もなく、高価なので父でもおいそれとは手に入らない。
その代わり、父が仕事でやりとりした手紙や資料をじいっと見つめていた。
「気に入った。宇俊、明日からここに通い、余のために尽くせ」
「ははっ」
皇帝が部屋の出口に向かう気配がし、そっと頭を上げた。
「ところで、宇俊」
部屋を出るか出ないかのところで、皇帝が振り向いた。
完全に油断していた私の胸が跳ねる。
「そなたは宦官になって間もないのに、すでに女性らしいな」
「は、そ、そうでしょうか」
宦官は男性器を切り落とす影響なのか、だんだんと体つきや顔つきが女性らしくなり、髭も生えにくくなるという。