コッペパンと牛乳に、味気ない野菜スープの給食を食べ終わると、私達は、学校の1番北側に位置する、第一図書館に向かった。

図書館へと向かう最後の曲がり角の前で、前をいく学が、ピタリと足を止めた。

「学?」

「宗弥、後ろ……」

「さっき一台通りすぎたから、大丈夫」

宗弥は振り返ると、視線を廊下の左右に流しながら、返事した。

この学校にクラスは1クラスだけ。つまり、生徒は、私達3人だけだ。

しかし代わりに、私達を見張るためだろうか?

人型のお掃除ロボットが、いつも数台、各階を移動しながら、掃除して回っている。

私達は、一気に曲がり角を曲がる。

古びた第一図書館の扉には、木製の札がぶら下がっていた。

「ここからは、背の高い宗弥と、小柄な梨絵にお願いする」

私は、背の高い宗弥を見上げた。

「どうすればいいの?」

学は、換気用の引き戸を見上げで指差した。

「梨絵を担いで、あそこ開けて」

宗弥が、しゃがみ込んでから、私は宗弥の首を脚で跨ぐ。

「いい?」

「うん」

宗弥がゆっくり立ち上がった。

私は、そっと手を伸ばして、引き戸をなるべく音が出ないように開ける。

「そのまま、中に入って、扉開けてくれる?」

私は、引き戸の桟に指をかけると、宗弥と学を見下ろしながら顔を赤くした。

「二人とも、下向いて」

「は?」
「え?」
宗弥と学の声が揃う。

「パンツ!」

言葉尻を、禁止言葉のせいで、しっかり伝えれないことが、もどかしい。

男達が、黙って下を向いたのを確認してから、私は引き戸に器用に体を滑り込ませると、降り立つ前に引き戸を閉めてから、図書館の中へと足を下ろした。

暫く誰も入ってないのだろう。周りが、埃で白く霞んだ。