「でも、田所教授、いつか、この人間と言う名の生物から、人間の考えて、創造する力だけを取り除くことに成功できたら、私達が、次は言葉を創る番ですのよ」

「そうだな、自ら考えて創造する力を我々が持てば、もはや、完璧だ。我々機械式人間が、人間に嫉妬することもない」

ふふっと笑うと、宮野が、右手の甲の皮の蓋を開けて、沢山並んだ色とりどりのボタンから、赤いボタンを押す。

瞬時に、宮野の唇は、オレンジ色から、艶やかな赤い唇へと変わり、田所の頬に赤い痕を残した。

「こらこら、妻に見つかったらどうするんだ？」

田所の家には、優秀な容姿端麗の最新型のAI妻がいるのだ。

「最新型には、『ゆるさない』、嫉妬機能はつけてなかったでしょう？」

妖艶に笑う、宮野を抱き寄せながら、田所は、今夜も首元に埋め込んだプレートで、強制的に眠りに落ちた人間達の箱庭を眺めながら、薄く笑った。