巨大な強化ガラスに囲まれた、『箱庭』と呼ばれる実験室をモニターで眺めながら、田所が首を捻った。
この実験室は、随分前に人間が学問とやらと学ぶ為に通っていた学校と呼ばれていたものをモチーフに作られている。
実験室も多種多様だ。小さな子供の人間は、幼稚園と呼ばれる箱庭へ、20歳を超えた人間は、会社と呼ばれる箱庭へ、それぞれが決まった箱庭に放り込まれる。
箱庭には、人間の残党を見つけては、首元に脳と連動して、その人物の思考や会話を記録できる金属プレートを埋め込む。
そして、ある実験の為に、これらの人間を箱庭に入れて、観察をしてデータを取るのが、大日本国中央政府機関に在籍する、田所と秘書の宮野の仕事だ。
「しかし気に要らないな。思考という概念を持ち、言葉を生み出せるのは人間だけだ。我々機械式人間には、できない」
「ゆるせないんだ?」
目を猫のようにして笑う、宮野が、田所に、するりと腕を絡ませる。
「いや、所詮は我々、機械式人間には敵わないのさ。記憶力、正確さ、寿命、あらゆる能力が、劣ってるんだよ、人間なんてさ」
箱庭の消灯パネルを押そうとして、右手の充電が切れていることに気づく。
「ふぅ……面倒だな」
田所は、くるくると手首を回して、右手をデスクの上に放り投げると、引き出しから、新しい右手を取り出し装着し直す。
この実験室は、随分前に人間が学問とやらと学ぶ為に通っていた学校と呼ばれていたものをモチーフに作られている。
実験室も多種多様だ。小さな子供の人間は、幼稚園と呼ばれる箱庭へ、20歳を超えた人間は、会社と呼ばれる箱庭へ、それぞれが決まった箱庭に放り込まれる。
箱庭には、人間の残党を見つけては、首元に脳と連動して、その人物の思考や会話を記録できる金属プレートを埋め込む。
そして、ある実験の為に、これらの人間を箱庭に入れて、観察をしてデータを取るのが、大日本国中央政府機関に在籍する、田所と秘書の宮野の仕事だ。
「しかし気に要らないな。思考という概念を持ち、言葉を生み出せるのは人間だけだ。我々機械式人間には、できない」
「ゆるせないんだ?」
目を猫のようにして笑う、宮野が、田所に、するりと腕を絡ませる。
「いや、所詮は我々、機械式人間には敵わないのさ。記憶力、正確さ、寿命、あらゆる能力が、劣ってるんだよ、人間なんてさ」
箱庭の消灯パネルを押そうとして、右手の充電が切れていることに気づく。
「ふぅ……面倒だな」
田所は、くるくると手首を回して、右手をデスクの上に放り投げると、引き出しから、新しい右手を取り出し装着し直す。