「ふふっ……」

「沙羅?どうかした?」

「ううん。何でもないわ」

私の周りにいる男達も、私に少しでも興味をもってもらえるように、振り向いてもらえるように、いつもいつも馬鹿みたいに必死だ。

あわよくば、結婚できたら等と無駄な妄想をしながら、身分もわきまえずに群がってくる低階級のハイエナ達。

始業のチャイムが鳴り響く。

「皆、今日もありがとう」

にこりと微笑みを向けてやれば、男達は、頬を赤く染め、顔を綻ばせながら、自分の席へと戻っていく。

女に生まれて心底良かったと思う。それも誰もが羨望の眼差しを向ける、父親譲りの頭脳と、母親譲りのこの美貌を兼ね備えて。

自分が、あの女と同じ顔をしているのは、正直気に入らないが、あの女は、確実に私よりも早く老いるのだから、もう少しの辛抱だ。

やがて近い将来、学校でも家でも、私という存在が一番大事にされ、愛される存在になる、そんな予感がした。