五人家族になってから、あっと言う間に3か月経った。

始めは、三人の夫達は、互いに譲り合い、認め合いながら、尚子と夜を過ごしていたが、いつからか、その関係はギクシャクするようになっていた。

理由は、尚子が、三人の夫の目を盗んで、相変わらず隆介の父親と不貞行為を続けているからだ。始めは、私や父親達の居ない昼間に会っていたが、最近では、何かと理由をつけて、朝帰りすることも多くなっていた。傍若無人な振る舞いは、まるで、この家の女王様だ。

「尚子さんは?」

尚子の好きなビーフシチューを作りながら、俊治が私に訊ねる。

「パパ達も知ってるでしょ……ママはあの人と……」

私の隣の一也も、今日は夜勤明けで休日の真澄も、私の言葉に視線を向ける。

「一体あんな男のどこがいいんだ!」

一也は、苛立ちを押さえるように、貧乏ゆすりを始める。

「ただの地方銀行の課長でしょ?あんな庶民に尚子さんは何考えてんだか」 

俊治は、ビーフシチューをよそった器を、ガチャンと大きな音を立ててテーブルに置いた。

「ふっ、今日も帰ってこないな、今ホテルに入ったようだ」

真澄はスマホを取り出すと、尚子のGPSの位置情報を私達に見せる。

三人の父親達の尚子への愛情は、純粋なモノから、既に嫉妬と憎悪を纏った黒いモノへと姿を変えていた。