毎晩、陛下の部屋に呼ばれ、清い仲が続いた。
国に対しての彼の真摯な思いが伝わってきて、一緒に討論してとても楽しい日々を過ごしていた。
(陛下はこれまでの皇帝とは違う。ただ偉そうにふんぞり返っている人ではない。優しくて真面目で、素敵な人)
男性だけれど、女性のようにきめ細やかな配慮をしてくれる。
彼――と言っていいのかわからない位美人の陛下は、毎晩、私に書簡をいくらか渡してくれた。
夜に会っているのに全く男女の仲にはならない。
(同性同士の親友という感じ。彼が私のことを女性としては見ていないのは分かっている)
分不相応な考えだとは分かっているのだけれど、魅力的な異性と――誰かにこんなに優しくされる機会が、これまでほとんどなかったので、嬉しくて仕方がないし、どうしても気持ちがふわふわと浮ついてしまうのだった。