不思議な出来事もあったものだと思っていた数日後――。

(曹貴妃達の仕業ね……)

 やはりと言うべきか、物を隠されたり、おかしなイタズラをされたりするようになっていた。
 しばらく標的になったら落ち着くものだろうか。
 生家と同じような事態は避けたい。

 黙ってやり過ごそうとしていた、そんな矢先のこと――。

「え……? 私が陛下の寝所に……!?」

「その通りです」

 宦官からの突然の報告に、私は目を真ん丸に見開いてしまう。

「はい、陛下は麗華様をご所望です」

「そんな……どうして、私なんかを……?」

「それは、私たちにも分かりかねます……けれども、陛下が女性を近くに呼ぶなど初めてごと、これは国の一大事にございます」

 相手も不思議そうな表情を浮かべつつも興奮した様子で告げて来た。