約一年前、国に売り渡されるように後宮入りした私――麗華は、後宮の片隅で黙って過ごしていた。
 元々、地方高官の娘でしかなく、大した身分の出自ではない。
 そのため、家格の高い妃嬪達とはあまり仲良くなれず、本当に身を潜めるように生きてきた。

(だけど、生家に比べたら幸せな生活を過ごせてる)

 ふと、生家での生活を思い出した。