その後、平和を取り戻した私は順調に妊娠生活を送っていた。
丞相と曹貴妃は皇后と皇太子を貶めた罰にとおとり潰しにされた後に島へと流されてしまった。
彼女たちに組して私に嫌がらせを働いてきたものたちは後宮から追放されたり、一部は謝罪してきたりしていた。
話は少しだけ変わるが――私が子どものためにと編んでいた小物たちを、たまたま他国からの使者が目にして大層気に入ったそうだ。自国に持って帰りたいと言われてしまい、もちろん金も払うと告げられた。
陛下をはじめ大臣たちからは新たな交易品が出来たと喜ばれていた。
そうして――今日も今日とて私が編み物をしていたら、陛下が姿を現した。
「麗華、ここにいたんだね」
明るい陽の下、陛下の白銀の髪がキラキラと輝いて光を放つ。
獣を彷彿とさせる黄金の瞳には穏やかな光が滲んでいた。
「白焔様」
私が名を呼ぶと、陛下は嬉しそうに口元を綻ばせる。
「君に今まで言いそびれていた言葉があるんだ」
「なんでしょうか?」
するとイタズラっぽく彼が微笑んだ。
「実は白虎姿以外で黙っていたことがあってね」
「それはいったい?」
何を隠されていたのだろうかと、少しだけ心配になったのだけど、思いがけない返事があった。
「君が話してくれた幼馴染の白ちゃんはね――実は私なんだ」
「ええっ……!? 女のコじゃない……!?」
あまりの衝撃に困惑していたら、陛下が口元に手を当ててクスクスと笑っていた。
「やっぱり勘違いしてたね。ちゃんと迎えに来ただろう? 僕の大好きな麗華」
「白焔様……白ちゃん……!」
女友達のように仲を育んで、子どもを授かって――。
なんだか不思議な間柄だけど――。
「愛している。ずっと私の側にいておくれ」
彼が私の膨らんだ腹部にそっと口付けを落とした。
「もちろんです!」
柔らな春風が吹き、授かった子と私たちの未来を祝福してくれる。
白焔帝の隣にはいつも最愛の皇后が隣で過ごしており、以降の治政は大層平和だったと、後の歴史書にはそう記されている。



