そうして――。

 平和を取り戻した私は順調に妊娠生活を送っていた。
 新たな交易品が出来たといって喜んでいるという。

「麗華……」

「はい、白焔様」

「今まで言いそびれていた言葉があるんだ」

「なんでしょうか?」

 するとイタズラっぽく彼が微笑んだ。

「実は白虎姿以外で黙っていたことがあってね」

「それはいったい?」

 少しだけ心配になったのだけど――。

「君が話してくれた幼馴染の白ちゃんは――私なんだ」

「ええっ……!? 女のコじゃない……!?」

 あまりの衝撃に困惑していたが、陛下がクスクスと笑っていた。

「やっぱり勘違いしてたね……ちゃんと迎えに来ただろう? 僕の大好きな麗華」

「白焔様……」

 女友達のように仲を育んで、子どもを授かって――。

 なんだか不思議な間柄だけど――。


「愛している――ずっと私の側にいておくれ……」

 彼がそっと膨らんだ腹部に口付けを落とした。

「はい」

 柔らな春風が吹き、授かった子と私たちの未来を祝福してくれているのだった。



 
 白焔帝の隣にはいつも最愛の皇后が隣で過ごしており、以降の治政は大層平和だったと、後の歴史書には記載されている。