白虎帝の寵姫




 裁判当日。
 たくさんの人々が宮殿前には集まっていた。
 私の隣には曹貴妃が立っている。相変わらず派手な身なりをしていて高慢な雰囲気を醸している。
 陛下はといえば、遥か高みにある玉座に座している。冷たい眼差しで私を睥睨しているのが分かって、ぞくりと背筋が冷たくなる。
 凛とした声が響く。
 
「金麗華が不義密通を働いたという男とやらを連れてこれるか、曹貴妃?」

「はい! この男にございます!」

 曹貴妃の呼び声に応じて、むさ苦しい青年が姿を現した。髪はぼさぼさしていて、粗末な身なりをしている。

「私は麗華様に言われて仕方なく部屋に参りました」

 青年は私と逢瀬があったと嘘を並べ立てはじめる。

(よくもこんな嘘をべらべらと……)

 腸が煮えくり返りそうだったが、胎教に悪いと呼吸をなんとか落ち着ける。
 そんな中、陛下が冷たく呟いた。

「そんなにも皇后になりたいのか」

 ――ズキンズキン。
 誤解されれているのだと思えば、このまま儚く消えてしまいたいぐらいだ。
 だけれど、陛下の視線の先にあるのは――。

(陛下が見ているのは――)

 私は汗の滲む掌をぎゅっと握りしめると覚悟を決めて叫んだ。

「私は絶対に不義密通など働きません! この子は間違いなく陛下の子です!」

 私の威風堂々とした宣言に対して、曹貴妃は一瞬だけ怯んだものの負けじと叫んでくる。

「あやかしと通じていると道士からの情報もございます! 白猫を痛めつけ、高級内で呪術を扱っていたようです!」

 民衆たちがざわめく。
 私は眉を顰めた。

(白猫を痛めつけていたのは自分でしょうに……)

 すると、陛下が厳かに口を開く。

「そうか、では妃の言う通り、麗華に呪の類がかかっていないかどうか、道士たちも招いて調べてみようか」

 そうして、道士が近づいてくる。
 彼らがぶつぶつと呪文を唱えはじめた。
 途端に私の腹部から白い光が漏れ始める。

「え……?」

 一体全体、何が起こっているのか分からない。
 けれども、動揺よりも温かな波動を感じた。

「ほら、やはり、金麗華はあやかしの類と通じていたのですわ……!!」
 
 曹貴妃が得意げに叫んだ。
 そう言われても仕方がない程の、真っ白な光が、民衆たちを包み込みはじめる。