西華国、南の街。

麗華(れいふぁ)、後宮に行こうと思う」

 幼馴染の大層可愛い少女から、思いがけない言葉を告げられ、私は目を真ん丸に見開いた。

「え? (しろ)ちゃん、どうして――?」

 問いかけると、儚げな少女がふっと微笑んだ。

「君と一緒に国を変えるために――必ず君を迎えに来るよ、待っていて」

 そうして、彼女は私に綺麗な翡翠の佩玉(はいぎょく)を貰った。

 当時、彼女にまた会えると信じて手を振って見送ったのだった。
 
 まさか、後宮に行った女の人達は、一生そこで過ごさなければならないとは知らずに――。