華蓮はどこか真っ白な場所に立っていた。周囲には何もなく、誰もいなかった。
「ここは……?」
前に歩き出そうとした時、華蓮の紬の裾を引っ張る者がいた。部屋に来ていた黒犬だった。
「貴方は……」
黒犬は華蓮から離れると後ろに歩いて行った。華蓮もその後に続くと、遠くで春雷の声が聞こえてきたのであった。
――睡蓮! 睡蓮……!
「春雷が呼んでいるの? ねぇあの後、私はどうなったの?」
黒犬は脚を止めると、そして華蓮を振り返ったのだった。
『犬神の雷を受けて生死を彷徨っていたのよ。華蓮』
「生死を!?」
『でも大丈夫。このまま真っ直ぐ行きなさい。そこに貴女を待つ人がいるわ』
華蓮が歩き出しても、黒犬はその場に止まったままだった不安になった華蓮は振り向く。
『私は行けないの。私はもうそっちのひとじゃないから』
「貴方は誰なんですか?」
『幸せになりなさい。私達の娘』
黒犬の正体に気づいた時には華蓮の足は勝手に歩き出していた。
「待って! 貴方は!?」
華蓮は黒犬に向かって手を伸ばすものの、黒犬は消えてしまう。
そして華蓮の視界は再び白く染まったのであった。
「ここは……?」
前に歩き出そうとした時、華蓮の紬の裾を引っ張る者がいた。部屋に来ていた黒犬だった。
「貴方は……」
黒犬は華蓮から離れると後ろに歩いて行った。華蓮もその後に続くと、遠くで春雷の声が聞こえてきたのであった。
――睡蓮! 睡蓮……!
「春雷が呼んでいるの? ねぇあの後、私はどうなったの?」
黒犬は脚を止めると、そして華蓮を振り返ったのだった。
『犬神の雷を受けて生死を彷徨っていたのよ。華蓮』
「生死を!?」
『でも大丈夫。このまま真っ直ぐ行きなさい。そこに貴女を待つ人がいるわ』
華蓮が歩き出しても、黒犬はその場に止まったままだった不安になった華蓮は振り向く。
『私は行けないの。私はもうそっちのひとじゃないから』
「貴方は誰なんですか?」
『幸せになりなさい。私達の娘』
黒犬の正体に気づいた時には華蓮の足は勝手に歩き出していた。
「待って! 貴方は!?」
華蓮は黒犬に向かって手を伸ばすものの、黒犬は消えてしまう。
そして華蓮の視界は再び白く染まったのであった。