一緒に暮らす……。
同棲ということになるのだろうか。
ううん、壱成さんが私の保護者のような…。
私は壱成さんが好き。
好きだけど……。
「あ、の、……今すぐお返事は…」
「分かってる」
「壱成さんに助けを求めましたが、私、そういうつもりはなくて……」
「ああ」
「お気持ちだけ、受け取っておきます…」
私たちが乗る車が、いつも壱成さんに送ってもらうコンビニを通り過ぎた。戸惑っている私を他所に、壱成さんは全く戸惑っておらず。
まるで当然のことのように話す壱成さんに、慌ててしまう…。
「俺はあんたのためなら何だってするよ」
車が家に到着する。帰ってきたくない家に。
車のフットブレーキを踏んだ壱成さんは、私の方を見た。ほんの数分なのに、久しぶりに壱成さんと目が合ったような気がした。
不安そうに見つめる私へ、壱成さんは手を伸ばす。
「……佳加が家にいる。安心して帰るといい」
いつ、お兄ちゃんと連絡を取ったのか。
壱成さんの言葉にほっとした私は、引き寄せてくる壱成さんに身を預けた。
「明日は迎えに来る、一緒に駅まで行こう」
「……壱成さん……」
「あんたの事は俺たちが守るから」
俺たちとは、壱成さんとお兄ちゃんの事だとすぐに分かった。私を抱き寄せる壱成さんの服を、掴む。
そのまま胸元に顔を埋めれば、壱成さんが私を大切にしてくれているという気持ちが伝わってきた。
「いつでも連絡を」
「……分かりません、好きというだけで、そこまで……」
「それは逆だ」
逆……?
意味が分からず壱成さんを見上げた。顔がはっきりとして、整っている壱成さんはそのまま私の頭を撫でる。
「好きだから、あんたに何でもしてあげたい」
好きだから……。
「家の中に。もう18時まで5分を切った」
ゆっくりと、名残惜しそうに私の体を離した壱成さん。
「……わたしもです、」
「うん?」
「好きだから、迷惑をかけたくない」
「俺は迷惑をかけられたいって思ってる。あんたのことに関してなら」
「できない…」
「できない?」
「できない…、私、迷惑をかけたくない…」
申し訳なくて、もう一度視線を下に動かせば「分かった」と壱成さんの声がして。
分かった?
分かってくれた?
じゃあ、もう、一緒に住む話は無くなった?
「あんたがそう考えないようにする」
「え?」
「迷惑だと、あんたが思わないよう、俺がもっと…、頼りになれる存在になればいい話だ」
「あの…」
「俺が悪い、悪かった」
ちっとも、微塵とも悪くない壱成さんが謝ってきて、運転席のドアを開けた。どこまでも私のことを考えてくれる壱成さんが、後部座席から私の鞄を取り出す光景を見つめる。
どうしてそこまで私のことを……。
壱成さんを追いかけるように、シートベルトを外し車から下りた私は、壱成さんから鞄を受け取った。
「また朝に」
そう、笑って言った壱成さんは、本当に愛おしそうに私の頭を撫でた。
同棲ということになるのだろうか。
ううん、壱成さんが私の保護者のような…。
私は壱成さんが好き。
好きだけど……。
「あ、の、……今すぐお返事は…」
「分かってる」
「壱成さんに助けを求めましたが、私、そういうつもりはなくて……」
「ああ」
「お気持ちだけ、受け取っておきます…」
私たちが乗る車が、いつも壱成さんに送ってもらうコンビニを通り過ぎた。戸惑っている私を他所に、壱成さんは全く戸惑っておらず。
まるで当然のことのように話す壱成さんに、慌ててしまう…。
「俺はあんたのためなら何だってするよ」
車が家に到着する。帰ってきたくない家に。
車のフットブレーキを踏んだ壱成さんは、私の方を見た。ほんの数分なのに、久しぶりに壱成さんと目が合ったような気がした。
不安そうに見つめる私へ、壱成さんは手を伸ばす。
「……佳加が家にいる。安心して帰るといい」
いつ、お兄ちゃんと連絡を取ったのか。
壱成さんの言葉にほっとした私は、引き寄せてくる壱成さんに身を預けた。
「明日は迎えに来る、一緒に駅まで行こう」
「……壱成さん……」
「あんたの事は俺たちが守るから」
俺たちとは、壱成さんとお兄ちゃんの事だとすぐに分かった。私を抱き寄せる壱成さんの服を、掴む。
そのまま胸元に顔を埋めれば、壱成さんが私を大切にしてくれているという気持ちが伝わってきた。
「いつでも連絡を」
「……分かりません、好きというだけで、そこまで……」
「それは逆だ」
逆……?
意味が分からず壱成さんを見上げた。顔がはっきりとして、整っている壱成さんはそのまま私の頭を撫でる。
「好きだから、あんたに何でもしてあげたい」
好きだから……。
「家の中に。もう18時まで5分を切った」
ゆっくりと、名残惜しそうに私の体を離した壱成さん。
「……わたしもです、」
「うん?」
「好きだから、迷惑をかけたくない」
「俺は迷惑をかけられたいって思ってる。あんたのことに関してなら」
「できない…」
「できない?」
「できない…、私、迷惑をかけたくない…」
申し訳なくて、もう一度視線を下に動かせば「分かった」と壱成さんの声がして。
分かった?
分かってくれた?
じゃあ、もう、一緒に住む話は無くなった?
「あんたがそう考えないようにする」
「え?」
「迷惑だと、あんたが思わないよう、俺がもっと…、頼りになれる存在になればいい話だ」
「あの…」
「俺が悪い、悪かった」
ちっとも、微塵とも悪くない壱成さんが謝ってきて、運転席のドアを開けた。どこまでも私のことを考えてくれる壱成さんが、後部座席から私の鞄を取り出す光景を見つめる。
どうしてそこまで私のことを……。
壱成さんを追いかけるように、シートベルトを外し車から下りた私は、壱成さんから鞄を受け取った。
「また朝に」
そう、笑って言った壱成さんは、本当に愛おしそうに私の頭を撫でた。