「うそつき!」
墓地に着くのと同時に入り口にまで、その高く悲鳴めいた子供の声が聞こえてきた。
それほど広くない墓地だが、三つのブロックに分かれていて階段もいくつかあった。
辺りを見渡しても、墓石と樹木に阻まれてその声がどこから聞こえるのか、はっきりと特定は出来ない。
「今の声は!間違いない!桃だ!」
声に気づいた谷口先輩が、案内するように俺と愛子の前に立った。
「彰、愛子くん、恐らくこちらだ」
一つ目の階段を登り右に曲がったところで、先程の声が、より鮮明に大きくなっていく。突き当たりを左に曲がったときだった。
赤いワンピースが揺れた。
「うそつき!おねえちゃんのうそつき!」
桃が、小さな両手で何度も砂月を揺すって、握り拳を作っては砂月の胸を叩いていた。
「……ごめ、んね」
「何をしている!」
桃の首根っこを掴むと、そのまま引きずるように谷口先輩が、砂月から引き離した。
「お兄ち……」
「馬鹿野郎!」
強く激しい怒りを含んだ声色だった。
桃が大声にびくんと体を震わせると、ボロボロと大粒の涙が溢れ落ちた。
「桃!人様に迷惑をかけるようなことだけはするなといつも言っているだろう!なぜだ!」
「だ、……って、ひっく」
「あ、あの、私が……」
スウェットの袖を、握り締めながら砂月が小さな声を発した。
墓地に着くのと同時に入り口にまで、その高く悲鳴めいた子供の声が聞こえてきた。
それほど広くない墓地だが、三つのブロックに分かれていて階段もいくつかあった。
辺りを見渡しても、墓石と樹木に阻まれてその声がどこから聞こえるのか、はっきりと特定は出来ない。
「今の声は!間違いない!桃だ!」
声に気づいた谷口先輩が、案内するように俺と愛子の前に立った。
「彰、愛子くん、恐らくこちらだ」
一つ目の階段を登り右に曲がったところで、先程の声が、より鮮明に大きくなっていく。突き当たりを左に曲がったときだった。
赤いワンピースが揺れた。
「うそつき!おねえちゃんのうそつき!」
桃が、小さな両手で何度も砂月を揺すって、握り拳を作っては砂月の胸を叩いていた。
「……ごめ、んね」
「何をしている!」
桃の首根っこを掴むと、そのまま引きずるように谷口先輩が、砂月から引き離した。
「お兄ち……」
「馬鹿野郎!」
強く激しい怒りを含んだ声色だった。
桃が大声にびくんと体を震わせると、ボロボロと大粒の涙が溢れ落ちた。
「桃!人様に迷惑をかけるようなことだけはするなといつも言っているだろう!なぜだ!」
「だ、……って、ひっく」
「あ、あの、私が……」
スウェットの袖を、握り締めながら砂月が小さな声を発した。