「愛子は、行くのか?」

「あたしは行く。今んとこあたしと谷口先輩だけだけど」

「じゃあ俺も行く」

「え?何でアンタがっ」

少しだけ頬を染めた愛子に駿介が、さらりと言い放つ。早速、谷口先輩が食いついた。

「おーーっ!駿介!分かってくれたか!嬉しいぞ!飯と寝床を共にすると絆が深まるからな!ガハハハッ」

屈強な肉体が、駿介にべたりと纏わりついた。谷口先輩を無理やり引き剥がすと、俺は、男と寝る趣味ねーんだけどな、と嫌悪感を露わにしていた。

愛子が、飲み干した苺ミルクの紙パックを綺麗にゴミ箱に着地させた時だった。

「私も!」

思わず全員の視線が、砂月に向けられた。

「砂、月?」

「あ、彰、私……も行きたいっ」

砂月が、驚いた俺の返事を待つ様にして、スカートの裾を握りしめた。

「そんなん、……ダメだろ!」

「なぜだ?砂月くんが行きたがっているなら参加で問題ないじゃないか」

呑気に笑う先輩を横目に、俺はもう一度、砂月を睨む。

「砂月!わかってんだろ、ダメなもんはダメだからな!」

「だって……今までそういうの、行ったことないから。……一回でいいから、皆んなで楽しい思い出になるような場所、行きたいのに……」

段々、涙目になっていく砂月を見て、駿介が泣ーかせたっ、と後ろから野次を飛ばす。