『彰、そっちにいってもいい?』

案の定入っていた、砂月からのラインに、俺はすぐさま電話を掛ける。

砂月は、待っていたのか、電話はワンコールで繋がると砂月の震えた声が聞こえた。

「……彰……こわい……」

「分かってる、窓開けて、すぐ行くから」 

砂月の部屋のカーテンが、開くと今にも泣き出しそうな砂月の顔が見えた。

俺は、首にタオルをかけたまま、窓辺に足をかけると、砂月の部屋に飛び移った。 

そして、砂月の部屋に入ってすぐだった。

ゴロゴロ、ドーンッという音と共に雨足はさらに強まる。俺は慌てて窓を閉めた。

「彰っ!」

砂月は、俺にしがみつくようにして、小さく震えている。

「大丈夫だから……」 

背中を摩ってやりながら、ベッドに座らせた。

「落ちない?」

目に涙を溜めながら、砂月が俺を見上げた。 

「落ちるわけないだろ、家ん中に雷落ちたの聞いたことないから」

砂月は、小さい頃から何故か雷を怖がる。色々なモノに憑かれる位だ。感受性が豊かで繊細なせいもあるだろう。

俺は、祓う時のように、線の細い砂月の身体をそっと包み込んだ。

「……安心した?」

こくんと頷くと、砂月は、俺の背中に手を回すと、ぎゅっと力をこめる。