「彰、おつかれ様。お前はスタミナがないタイプだな、また特別メニューを考えてやるからな!ガハハッ」

谷口先輩に、出迎えられてゴールした時には、既に、駿介は、髪をかき上げながら、ペットボトルの水を喉を鳴らして飲み干していた。

すぐそばにいた愛子は、砂月に駆け寄ると、嬉しそうに微笑んだ。

「砂月、おかえり!無事でよかった」

にっこり笑った愛子の顔は、初めてみたかも知れない。元々が美人だ、愛子の笑顔は、俺でさえも、心臓に悪い。

「ありがとな」

駿介が、俺の肩に手を置くと、唇を持ち上げた。

「え?」

「愛子のトラウマだけどさ……今日のことで、和らぎそうだわ。あんな笑った顔久しぶりに見たから」 

駿介が、切長の瞳を嬉しそうに細めて、愛子を眺めていた。 

「お互い様だろ、この間、砂月祓ってもらったし」

駿介が軽く拳を挙げて、俺たちは、初めてグータッチをした。

「おい、お前らも来い」

谷口先輩が、リュックの中から、丸い塊を取り出すと、俺たちに、ぽいっと、放り投げた。