そして、授業が始まってすぐに、後ろから駿介が椅子裏を蹴られる。 

「今からラインするから、見とけよ」

俺は前を向いたまま、小さな声で返事をした。

駿介は返事の変わりに、軽くコンと椅子裏を蹴った。

駿介に、ラインを打ち終わると、喉が渇いていたことに気づいた俺は、ポスっと小気味のいい音を立ててストローを挿しこむと、体温と同じくらいに感じる苺ミルクを一気に飲み干した。

甘ったるさの後に甘酸っぱさも感じる。

思わず、えずきそうになった、俺の背中を見ながら、駿介のクククッと笑いを堪える声が、聞こえた。

(もう一生飲まねぇ……)

俺は後味に顔を顰めながら、空になった苺ミルクを睨んだ。