「知らなかったの……まさか、砂月が憑かれる体質だってこと……知ってたら用具置き場に行かせたりしなかったのに……」

肩を震わせながら、愛子が目元を何度も拭った。

「それは藤野のせいじゃねぇよ、こんなこと誰も信じないだろ、普通さ……」

「駿介、……ひっく……砂月大丈夫だよね?」

「あのな、俺の悪魔祓いは完璧なの、愛子も知ってんでしょ」

愛子が、こくんと頷くと、駿介が小さくため息を吐き出した。

「愛子のせいじゃないだろ、いちいち泣くなよ」

「だって……」

愛子の目元はもう真っ赤になっている。

「彰、ちょっと付き合えよ」

保健室の扉から、出て行く駿介を、俺は後ろから追いかけた。