「嘘!!砂月っ」

あの後、慌てて用具置き場に向かった、俺の様子が気になった、愛子が用具置き場に追いかけて来て、気を失っている砂月を見て、酷く取り乱した。

「とりあえず保健室に運ぶから」

俺は、砂月を抱えて保健室に向かうと、そっとベッドに寝かせた。砂月は規則正しい呼吸を繰り返している。

「ちょっと代わって!」

長い睫毛を揺らしながら、眠る砂月を見ながら、手を握っていた俺を突き飛ばして、俺は、愛子に座っていた場所を奪われる。

「おいっ」

「砂月、ごめんね……私が片付け頼んだせいで」

あの、勝ち気な愛子が今にも泣き出しそうな表情に驚いた俺は、窓辺に寄りかかって立っている駿介を見た。

「愛子、大丈夫だよ、少ししたら砂月も目を覚ますから」

「ごめんなさい……」

「え?藤野?」

ポロポロと、涙を溢す愛子に俺は戸惑った。

「駿介、砂月大丈夫なんだよな?」

「問題ないから」

俺の目を真っ直ぐに駿介が見た。そして駿介の視線は、愛子へと向けられる。