少し経って、河野さんの手元が、あまり動いてないことに気づいた。
「それって刺繍ってやつですか?」
同じところ辺りに、針を刺して行ったり来たりしながら、模様のような物を描いている。
「そうなの、ドレスは完成してたんだけど、刺繍だけ間に合わなくて……。あの子すごく緊張しやすいんです。だから緊張しないようにいつも寝る時に、抱き抱えている、クマのぬいぐるみの模様を刺繍してあげたくて」
俺が、模様かと思ったのはクマの耳の部分だった。河野さんは慣れているようで何度も針の角度を変えながら、すでに半分程出来上がっている。
「すげー、慣れてるんですね」
「昔ね、仲の良い友達に教えてもらったの。高校三年間、同じクラスでいつも一緒だったの。器用な人でね、刺繍が上手で、明るくて優しくて、いつもニコニコしてる人だった」
「へぇー」
この辺の高校なら、俺と砂月と一緒かもしれない。
「それって刺繍ってやつですか?」
同じところ辺りに、針を刺して行ったり来たりしながら、模様のような物を描いている。
「そうなの、ドレスは完成してたんだけど、刺繍だけ間に合わなくて……。あの子すごく緊張しやすいんです。だから緊張しないようにいつも寝る時に、抱き抱えている、クマのぬいぐるみの模様を刺繍してあげたくて」
俺が、模様かと思ったのはクマの耳の部分だった。河野さんは慣れているようで何度も針の角度を変えながら、すでに半分程出来上がっている。
「すげー、慣れてるんですね」
「昔ね、仲の良い友達に教えてもらったの。高校三年間、同じクラスでいつも一緒だったの。器用な人でね、刺繍が上手で、明るくて優しくて、いつもニコニコしてる人だった」
「へぇー」
この辺の高校なら、俺と砂月と一緒かもしれない。