ーーーー河野さんの最期の願いは、意外なものだった。
明日に迫った娘さんのお遊戯会の衣装を完成させたいというものだった。
ほとんどの憑いたヤツの願いが、物理的だと言うと手紙が多いというのもあって、俺は意外に感じた。
「保育園、今日お休みなんです。今日は創立記念日で先生達が、明日のお遊戯会の準備をされているところかと思います。今から保育園に行って娘の衣装の仕上げをしたいと思います……付き合ってくれますか?」
やや間があっての、『付き合ってくれますか?』のフレーズに俺の心臓がとくんと跳ねた。
(違うのはわかってる。分かってるけど、砂月に見つめられて言われると反応しない方が難しい)
「あー……はい」
赤くなった顔を見られたくなくて、そっぽを向いた俺を、河野さんが不思議そうに見ていたが、俺は知らない振りをした。
保育園は、公園から自転車で15分程の距離だった。誰もいない園庭を眺めながら河野さんがインターホンを押し、しばらく誰かとインターホン越しに話している。
少し離れた場所で、学校に休みの連絡を入れ終わった俺が、河野さんを見ると、こちらに向かって手招きしている。
明日に迫った娘さんのお遊戯会の衣装を完成させたいというものだった。
ほとんどの憑いたヤツの願いが、物理的だと言うと手紙が多いというのもあって、俺は意外に感じた。
「保育園、今日お休みなんです。今日は創立記念日で先生達が、明日のお遊戯会の準備をされているところかと思います。今から保育園に行って娘の衣装の仕上げをしたいと思います……付き合ってくれますか?」
やや間があっての、『付き合ってくれますか?』のフレーズに俺の心臓がとくんと跳ねた。
(違うのはわかってる。分かってるけど、砂月に見つめられて言われると反応しない方が難しい)
「あー……はい」
赤くなった顔を見られたくなくて、そっぽを向いた俺を、河野さんが不思議そうに見ていたが、俺は知らない振りをした。
保育園は、公園から自転車で15分程の距離だった。誰もいない園庭を眺めながら河野さんがインターホンを押し、しばらく誰かとインターホン越しに話している。
少し離れた場所で、学校に休みの連絡を入れ終わった俺が、河野さんを見ると、こちらに向かって手招きしている。