「あ、砂月、それ此処」

俺は、パズルは得意な方だ。砂月の持っていた白いピースを指先で方向を、変えて嵌め込んでいく。

「彰、すごい凄い!」

「前回のたぬきバスよりも早く出来上がるかもだな」

「でも、いつもそういって、なかなか出来上がらないじゃん」 

「まあな」

(違うよ、砂月と一緒に居たいから、すぐに作らないだけ)

肩をすくめた、俺を見ながら、砂月がケタケタ笑った。

「あとは白いトロロの片耳だよね」

「本当だな、どこだろうなぁ」

俺は、ワザと難しい顔をして、パズルと睨めっこする、フリをする。

砂月は、集中すると、少しだけ無意識に唇を尖らせる。

俺は、最後のピースを砂月が、見つけやすいように、指先でピースの山から、砂月の方へ誘導する。

「あ!彰!あったよ!」

嬉しそうにピースを見つけて、白いトロロの片耳が嵌め込まれ、その一部分が完成した。

「彰、やったね」

俺を見上げた、笑顔の砂月との顔の距離が近くて、俺は思わず腰がひけた。それは砂月も同じだったのかもしれない。

「あ、あのごめんね……」

ほんのり頬を染めた砂月が、小さく呟いた。

「いや、別に」

俺は、なんて事ない顔を装って、頭をガシガシと掻いた。

「砂月、ココア入れてくるな」

「うん、ありがとう」

砂月は、お礼をいうと、再びパズルに視線を映して、嬉しそうに微笑んでいた。