心地よい祝福のエレクトーンが鳴り響き、大きな拍手と、共にその重厚な扉は開かれる。
ーーーー俺と砂月が永遠に一緒にいられる、未来への扉だ。
俺達は、今日結婚する。神社の跡取り息子が、教会で結婚式をするのは初めてだそうだ。父さんは、最後まで神前結婚を勧めてきたが、俺と砂月は、ここで挙げたかった。
ウェディングドレスに身を包んだ砂月が、美紀子さんに、手を引かれて入場する。
父さんが、入場してきた砂月を見て、一番初めに泣いたのには笑った。
愛子が、グスグスと泣きながら笑い、谷口先輩が、一眼レフ片手に所狭しと動き回ってシャッターを切っている。
そして、白いワンピース でお洒落した桃が花嫁の通る道に、薔薇の花びらを雪のように撒いていく。
俺は、バージンロードを歩いてくる、砂月を真っ直ぐに見つめた。
透明なビーズが華やかに刺繍された純白のドレスは、ステンドグラスから降り注ぐ光に反射して、キラキラと輝く。砂月を覆うヴェールは、背中まであり、歩くたびに揺れて、まるで真っ白な羽根が生えた天使のようだ。白い手袋を嵌めた華奢な手には、ラウンド型の向日葵のブーケを抱えている。
俺は、人並みの言葉だけど、砂月がこの世の何よりも、どんな宝石よりも、美しすぎて、本当に言葉にならなかった。