多分、俺は今、砂月に見せたことないような顔してるんだろう。

そのまま両手で、砂月のほっぺたに触れる。ちゃんと伝わるかどうかじゃなくて、声に出して言葉で伝えるんだ。 


「好きだよ。砂月が、ずっと好きだよ」


ずっと前から、伝えたかった言葉と想いは、口に出してしまえば、本当にあっという間で、長く心に燻っていた分、あっけなかった。

頷くように、砂月の瞳から涙が、(こぼ)れた。

「彰、大好き」

砂月が、花開く様に笑う。
小さい頃と何一つだって変わらない。

そのまま砂月を、両腕に閉じ込めて、俺たちは、触れるだけのキスをした。

俺に回された小さな手が、背中をぎゅっと締め付けて、心臓と心臓がくっついて、あったかい。

どの位そうしてただろうか。砂月が、ふっと離れた。

そして、そのままポケットから何かを取り出すと、両手を突き出す様にして、俺に差し出した。 

「あげる」