施設の入り口で、待っていた俺は、小さく響いてきた靴の音に、思わず振り返った。

待ちきれなくて、砂月を自分から捕まえにいく。両腕にしっかり閉じ込めて、すぐに祓いの言葉を唱えた。

砂月のスカートの裾が、ふわりと風で膨らむのと、砂月が、俺のパーカーの裾を握るのが、同時だった。

「彰」 

俺を、見上げて砂月が、にっこり笑う。

「あったかいね」

「そうだな、砂月のおかげだな」

心が、あたたかい、温まるって、こんな気持ちなんだと思う。

「違う、彰のおかげだよ。私が安心して憑かれたのは、彰が居たからだよ」

「頑張ったのは砂月だろ……カヨさんも茂さんもさ、すっげえ幸せそうでさ。ああいう想いが、永遠って言うんだろうな」

永遠という言葉を自分で吐いて、ふと思ったのは、俺にとっての永遠は、砂月だってこと。

ーーーー砂月への想いだけは、間違いなく永遠だって言える気がした。