「……彰くんね。砂月ちゃんの話してた通りの子ね、ありがとう。」 

「あ、え、そんな全然っ、です。えっと、砂月が、おばあちゃんから預かっていたものを、持ってきたからって。バックに入ってると思います」

俺は、白のバックから、少しだけ見えている茶封筒を指差した。 

「……あぁ、さすが砂月ちゃんね、これを、茂さんに見せたくてね」

カヨさんが、窓の外に広がる中庭に目を細めた。
「綺麗ね、とっても」

俺には、どの花も名前は分からなかったけど、カヨさんは、中庭を埋め尽くす色とりどりの花々を慈しむ様に魅入っていた。

「来られたみたいです」

介護士に肩を支えられながら、こちらに一歩ずつ歩いてくる老人が見えた。カヨさんがゆっくり振り返る。