ひだまりの家は、俺の老人ホームのイメージよりも、遥かにモダンな作りで、丁寧に管理された樹木が、レンガ塀の外をぐるっと囲む様に配置されていた。

その名から、想像できるように、太陽の光が施設全体を照らすように、随所に光の取り込みが計算された構造だ。木製のステンドグラスが嵌め込まれた扉を開けると、天井まである大きな窓から、施設内もあたたかい日差しで溢れていた。

「どちらの方のご面会ですか?」

受付の女性に訊ねられ、砂月が、茂さんの名前を告げた。

俺は砂月との関係を訊ねられ、咄嗟に兄だと名乗った。砂月が目元だけで笑う。

「今、中田さん、お風呂なんです、少しだけお待ちくださいね」

俺たちを、窓際の四人掛けのテーブルに案内すると、受付の人は、元の受付テーブルにまた戻っていった。

平日の昼間だけあって、いくつか並べられたテーブルには、俺たちしか居なかった。

「砂月、大丈夫か?」 

茂さんが、この時間お風呂なのは、砂月がカヨさんから聞いて知っていた。砂月が、大きく深呼吸する。