「彰、あと……学校、連続で、休んじゃって大丈夫かな?」 

「俺は、平気だけど?父さん、俺の出席日数なんて微塵も気にしてねーから。砂月こそ大丈夫か?」

「うん、お母さんには、茂さんに、カヨおばあちゃんのことを伝えに、彰と行ってくるって話しておいたから」

「そっか」

俺たちは、並んで自転車を漕ぎ出した。

「隆おじさん、あんまり家帰って来てないの?」

「そうだな、この間会ったけどな。月に数回洗濯しに帰ってくる位かな」

季節は秋と呼ばれる季節だが、昼間は、まだ長袖だと暑く感じる。それとも、見慣れないワンピース姿の砂月のせいだろうか。

俺は、パーカーの袖を捲った。

「そっか、寂しくない?」 

「うーん。何だろ、この距離感が、俺と父さんには合ってる気がするかな。人それぞれ心地良い距離感って、違うと思うしさ」

言葉に()いてから、俺と砂月の心地よい距離感って何だろう、と一瞬、脳裏に浮かんだが、この間の駿介と砂月の親密そうな教室の景色まで蘇ってきそうで、俺は、慌てて掻き消した。

「……ひだまりの家、だっけ?電話はしたんだよな?」

緩い坂道にさしかかって、俺達は、歩道に入って、自転車を押しながら並んで歩く。

「うん、茂さんの遠い親戚って言う設定で、カヨおばあちゃんの代わりに、渡したいものがあるって伝えた」

「渡したいもの?」

砂月が、可愛らしい白のハンドバックを片手で開けると、小さな茶封筒を指差した。