「……俺と同じとか言うなよ」

泣きながら鼻を啜り、また俺から見えないように、横を向こうとする、砂月を、胸元にそっと抱きかかえた。

ーーーー砂月は、ずるい。俺は、砂月を泣かすのが一番キライだ。

「マジで……砂月に泣かれんの嫌なんだよ」

こんなに砂月を泣かしたのは、確か、小六の時にクラスの肝試し大会に、砂月が行こうとした時だ。

あの時も確か、皆んなと一緒に小学校の思い出作るんだ、ってきかない砂月を、怒鳴って泣かせた。

ーーーー砂月だって我慢してる。そんなの分かってる。砂月のそうしたい気持ちと、俺のそうしたい気持ちは、これからも折り合わない。だって、俺は、砂月に恐い思いも、悲しい思いもして欲しくないから。

「……泣き止めよ……《《分かった》》から」

はぁーっと、ため息をついた俺を、真っ赤になった砂月の大きな瞳が、淡い期待を含みながら、ゆっくり見上げた。

「その代わり、その中田カヨさんの魂が満足するしないに関わらず、俺の判断で祓うからな?あと、こんな風に憑かれた人の家族に会うのは今回だけ。いい?」

こくんと頷くと砂月は、ようやく小さく笑った。