「わかってる!でも彰が、私にそうしたいって思ってくれてるのと同じなの!一緒なのっ!……こんな体質、すごく嫌だった。恐いし、憑かれたら記憶なくなるし……でもね、でも、彰に祓ってもらったあと、すっごく心の芯があったかくなるの。

ありがとうって声が聞こえるの…だ…からっ、私ができること、おばあちゃんにしてあげたいの。

おばあちゃん、茂さんのこと大好きだったんだもん。茂さんのためにも、長生きしなきゃって言ってたのに……それなのに……お別れも言えなくて……大好きな人なら尚更、ちゃんと伝えたいよ、きっと。

私だったら最期に大切な人に、大好きも、さよならも、きちんと言えなかったら、悲しいもんっ!」 

少し肩で息をしながら、一息で言葉を紡ぎきると、大きな瞳から再び大粒の涙が溢れた。
そして、砂月が、子供みたいに声を上げて泣き始めた。

「あー……泣くなよ……」

さっきとは、涙の種類が違う。これは、俺が砂月を泣かした涙だ。

「頼むからさ……」

砂月が、ここまで感情的になるのも珍しい。

ここまで自我を押し通そうとすることも。