「……その、中田カヨさんって言う方が……その……亡くなったのか?」

「うん、最近、少し体調が良くないって聞いてたんだけど、今朝急に……」

また涙を溜め始めた、砂月の背中を摩りながら、そのままブレザーの裾でそっと拭ってやる。砂月が握りしめている淡いブルーのハンカチは、洗濯したてのように、本来の水分を拭き取る役目は、もはや機能していなかった。

「彰のとこに……そのおにぎり持って行った後、お母さんから、連絡があったの。おばあちゃんのとこ慌てて行ったけど……」

「そっか、わかった……。ごめんな、辛いこと聞いて……」

砂月は、しばらく俯いていたが、俺を見上げて、俺の顔をじっと見つめた。

「あのね……彰……」

「どした?」

「うん……実は、お母さんが、土日仕事の時も、カヨおばあちゃんに会いに行った事があって、その時、おばあちゃんから頼まれて……」

「……何を?」

俺に言いにくそうにしながら、砂月が唇を湿らせてから、切り出した。