「……もし……っく」
突然、スマホから聞こえた声は涙声だった。
「砂月?砂月?」
砂月なのか、憑かれた砂月なのか分からない。
もう一度液晶画面を確認する。「砂月」と表示された、スマホの液晶画面からは、グスっと鼻を啜る音と涙を堪える様な声しか聞こえてこない。
ーーーー砂月……じゃないのかも知れない。
「あの……名前いえる?」
「……あ……きら、ひっく」
思わず溜め込んでいた空気を、俺は、全部吐き出した。良かった、砂月だ。
「砂月、いまどこ?」
「……ひっく……病院」
「病院?県立病院だよな?すぐ行く、ロビー、いや……中庭で待ってて、わかった?」
「うん……」
今の電話の様子だと、砂月は、かなり泣いた様子だった。だから俺は、人目につくロビーよりも中庭を指定した。砂月は、泣き顔を見られるのを昔から嫌がるから。俺は、自転車に飛び乗ると全速力で漕ぎ出した。
突然、スマホから聞こえた声は涙声だった。
「砂月?砂月?」
砂月なのか、憑かれた砂月なのか分からない。
もう一度液晶画面を確認する。「砂月」と表示された、スマホの液晶画面からは、グスっと鼻を啜る音と涙を堪える様な声しか聞こえてこない。
ーーーー砂月……じゃないのかも知れない。
「あの……名前いえる?」
「……あ……きら、ひっく」
思わず溜め込んでいた空気を、俺は、全部吐き出した。良かった、砂月だ。
「砂月、いまどこ?」
「……ひっく……病院」
「病院?県立病院だよな?すぐ行く、ロビー、いや……中庭で待ってて、わかった?」
「うん……」
今の電話の様子だと、砂月は、かなり泣いた様子だった。だから俺は、人目につくロビーよりも中庭を指定した。砂月は、泣き顔を見られるのを昔から嫌がるから。俺は、自転車に飛び乗ると全速力で漕ぎ出した。