「春宮彰ナイス!それそれ!送信っと!」

「あ?……あぁ」

俺は、剥き出しのコンクリに腕を枕にして、ゴロンと身体を預けた。目を閉じるとあっという間に落ちていく。心地よい程に。

「彰、寝ないでよ!」

朝と同じ、程よい力加減で揺さぶられて、甘い香りが降ってくる。最高の昼寝だ。

「五分。一夜漬けだったからさ……」

「夏休み明けは、実力テストって分かってたでしょうが。計画性ってもんがないな、男どもは。こんなんで文化祭の屋台大丈夫かな」

「……藤野うるせ、やるときゃやる」  

「春宮彰が、その台詞、よく吐けるね」

俺を、蔑んでるのであろう藤野の顔は、見なくても想像できた。

「あ、愛子ちゃん、この間のね……」

砂月が、話す度にカロンと飴玉を転がす音がする。

意識が宙に舞ったり落ちたりしながら、至福の時間が、俺を支配していく。時折、笑い合う二人の声が、心地よく、そして、段々遠くなっていった。